開催日: 2025年12月7日
会場: 川崎能楽堂
ご挨拶
師走に入りお忙しい中、第一部、第二部とも、たくさんのお客様にお越しいただき、大盛会となりました。
ご出演の翠理会のみなさま、能楽堂というお舞台で、長唄、荻江、清元と、さまざまな曲に挑戦し、存分にお力を発揮されたと存じます。
ご来場いただいたみなさま、また、たくさんの応援をくださったみなさまに深く御礼を申し上げます。
第一部
常磐津 菊の栄
日本古来より、菊の花は長寿や繁栄を象徴するものとされています。歌詞には、情景を愛でたり、美し い菊の花の咲くさまや、月が美しいといった、風景描写もあり、それにまつわる喜びを表し、国の栄え を祈るご祝儀曲です。
藤間勘翠理
藤間勘恵音
長唄 七福神
日本の成り立ちを唄ったご祝儀曲です。イザナギとイザナミの間に産まれた第三子である蛭子(ひるこ )が流れ着いた土地に鎮座し、商売繁盛や五穀豊穣の神である恵比寿となったという神話がこの曲の題 材となり、引くものづくしで、長寿・繁栄を祝います。
絹山央成
奏風楽 あぢさい
雨の中、一人佇む女性が、好きな人への激しい想い、戸惑いや恥じらい等、切ないその心情を、さまざ まな色に変化するあぢさい(紫陽花)の花になぞらえ表現します。
加藤美菜
出演者の声
日本舞踊の美しさと奥深さに感銘を受け、お稽古を続けています。 今回私が踊った奏風楽「あぢさい」は、切ない恋心を物語ったもので、微細な動きにその想いを表さなければなりませんでした。 まだまだ未熟ですが懸命に踊りました。
長唄 雨の五郎
曽我兄弟の仇討ちをとりあげた、歌舞伎でも有名な曽我狂言ものの登場人物、五郎時宗を唄った曲です 。恋人である化粧坂の少将のもとへ廓通いをしながら、父の仇討ちの機をうかがってはいるものの、の どかな風景にこころを動かす場面もあり、血気盛んな勇壮な荒事のみならず、爽やかな青年の心情も唄 われています。
オゴリールコ・ナターリヤ
出演者の声
今回が初めての舞台出演でした。躍動感と繊細さの両方を持つ踊りで、それらを表現することは決して容易ではなく、大きな挑戦でした。けれども、お稽古の時も本番前も、先生と先輩方が温かく寄り添ってくださり、いつも力強い支えを感じておりました。いただいた励ましのお言葉や温かな支えに助けられて、最後まで踊りきることができたと思います。
長唄 四季の山姥
山姥とは、山の中に住んでいる女性という意味です。この女性はかつて華やかな遊郭で八重霧という位 の高い遊女として名を馳せていました。武将と恋に落ち、山の中で子を産み、育てます。その子はのち の頼朝の家臣となる坂田蔵人公時となる、金太郎のことだといわれています。 曲の中では、廓での華やかな思い出などを、それぞれの季節にのせて表現し、冬は雪に閉ざされた山中 で春を待つ女性の一生を、時には苦界の辛さを、また、華やかであった過去への想いを舞いで表現しま す。
Y.O.
出演者の声
長くて難しい曲に臨みましたが、時間をかけた丁寧なご指導を受け、八重桐の気持ちになり踊れたと思います。 師匠、仲間たち、お客様、すべてに感謝の気持ちでいっぱいです。
長唄 老松
常緑樹である松は、長寿、家の繁栄等の縁起のよい象徴とされ、松(待つ)にかけた幾世も超えて築か れた幸せや、松の位の太夫の吉原の風情も折り込まれ、豊かな繁栄が永遠に続くようにとの願いが込め らています。松が、厳かで穏やかに時代の変遷を見守り、泰平を望むという御祝儀舞踊です。
出演者の声
拙い踊りですが、舞台という目標があると研鑽いたしますので一歩一歩成長できます。 また、着付け、お化粧など、藤間勘恵理先生率いる一の会のみなさま、髪は國武さんがご担当くださり、不安無く舞台に上がらせていただけました。
荻江 鐘の岬
能「道成寺」を元に、歌舞伎の名作 長唄「京鹿子娘道成寺」が作られ、地唄、そしてこの荻江節へと変 化しました。道成寺作品全般に共通する、僧侶に恋をし、裏切られるという女性の気持ちが描かれてい ますが、荻江では、その激しい恋ごころや恨みを、抑制し、ゆったりとした細かな動きで表現します。
オグネヴァ・クリスティーナ
出演者の声
道成寺ものと言われる作品に挑戦しました。 感情を表すのが難しかったけれど、細かなしぐさひとつひとつに心をこめて、精一杯踊りました。
長唄 吾妻八景
江戸の名所を唱えた曲で、隅田川、日本橋、品川の御殿山、高輪、駿河台、浅草寺、吉原、上野忍ケ岡 などが順に唄われます。八景という題名ですが、それ以上の数の江戸時代の下町風景場面を、季節を伴 い、そこでの出来ごとを華やかに踊りで表現します。
出演者の声
今でも残っている名所や、そこに関わる人々の心情を織り交ぜて、一つの場所、一人の心情ではなく、場面に合ったお役になることに挑戦しました。
第二部
長唄 水仙丹前
江戸時代の流行を織り込んだ歌舞伎舞踊の代表作の一つで、さまざまな恋にまつわる話を描いた作品で す。恋文を書いたり、それでも切ない思いを伝えきれなかったり、逢いたくてしかたないという気持ち や、その恋の駆け引きを愉しむような心情を踊りで表現します。 水仙の花の美しさを若衆姿の美しさに見立て、江戸時代の流行を反映した衣装で踊ります。
立方 藤間翠恵迦
地方
長唄
唄 今藤 政之祐
今藤 龍之右
杵屋 佐喜
三味線
杵屋 五吉郎
杵屋 五三吉次
杵屋 五之吉
囃子
望月 太津之
望月 正浩
住田 福十郎
藤舎 夏美
福原 寬
出演者の声
好きな相手へ想いを燃やしたり、静かに想ったり、刻々と変化する恋心や、その悩ましい気持ちを踊りに込めました。 今回、素敵な曲に出会う事ができ、これまでと違った自分の踊りに目覚めたように思います。また、素晴らしいご演奏もあり、大変光栄な機会をいただきました。
長唄 二人椀久
恋人である遊女松山への逢いたさで廓通いが過ぎ、勘当された豪商の息子、椀屋久兵衛(椀久)は、座 敷牢に閉じ込められましたが、松山への想いは募るばかり。この作品は、松山に逢いたい一心で彷徨い 続ける椀久が見た、甘く、切ない夢の世界を表現します。 彷徨う椀久はついに幻の松山に出会い、肩を抱き合ったり、酒を交わしたり、拗ねたり、仲のいい恋人 の時間が夢の中で過ぎていきます。 曲調が変わり、軽快な唄と踊りは二人の心が高まっている様子や廓での楽しい遊びが表現されますが、 追っても追っても松山を抱き止められない、ついには恋しい松山は見えなくなっていく。 狂おしいまでの椀久の一途な恋心は儚く消え去り、現実に引き戻され、一人残された椀久は寂しさに 打ちひしがれます。
立方 市川九團次
藤間勘翠理
地方
長唄
唄 杵屋 巳三郎
今藤 政之祐
今藤 龍之右
杵屋 佐喜
三味線
杵屋 五吉郎
杵屋 五三吉次
杵屋 五之吉
囃子
望月 太津之
望月 正浩
住田 福十郎
藤舎 夏美
福原 寬
舞台を支えてくださった松竹衣装荒川さん、ヘアの國武さん、お写真はありませんが、狂言方の荒さん、後見の市川九一朗さん、突然のお手伝いで駆けつけてくれた守君、そして、一の会の皆さま、こころより感謝申し上げます。


当日の様子
多方面に渡るお客様にお越しいただき、たくさんの笑顔があふれる1日でした。
お手伝いくださった皆さま、お写真に写らないほど忙しく駆け回った皆さま、会を支えてくださり、ありがとうございました。改めて感謝いたします。
この経験を胸に、また次の舞台へ向けて稽古を重ねてまいります。
